商社の種類
「商社」と聞くと三菱商事や伊藤忠商事を始めとした総合商社を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。総合商社はその字のごとく、幅広い領域で事業を展開しており、「ラーメンからロケットまで」と表現されるほど、その事業領域は多岐に渡っています。一方で、商社には特定の商材に特化した商社もあり、それを専門商社と呼びます。有名だからと、総合商社ばかりに目が行ってしまいがちですが、どちらにも魅力があるので、しっかり考えたうえで選考を進めていきましょう。
商社の仕事って?
商社ビジネスは一般的に「トレーディング」と「事業投資」の2つに大別されます。近年はこの二つに加えて「事業経営」にまでビジネスの幅を広げており、みなさんのイメージする商社ではなくなっているかもしれません。
1.トレーディング
「トレーディング」とは、商社が中間業者として顧客企業の製品の輸出入代行や貿易事務を担うことを指します。分かりやすく言うと貿易の仲介役のような存在です。 例えば、家具を作っているメーカーがあるとします。木製の家具を作るには大量の木材が必要になります。この場合、商社は木材の販売業者と家具メーカの間を取り持ち、貿易を成立させます。その際に、安全なサプライチェーンの確保、保険の提供などを付加価値として提供することでこのビジネスは成立しているのです。
みなさんは商社と言えばこのトレーディングビジネスをイメージするでしょう。 しかし、インターネットの普及や企業の海外進出をきっかけに、仲介役としての商社の必要性が低下しました。そんな中、商社が見出した新たな活路が事業投資なのです。
2.事業投資
事業投資とは、ある企業に対して商社が保有する経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を投資し、その後、リターンを得るビジネスのことです。 商社は資金だけではなく、トレーディングビジネスで蓄えた世界中のネットワークとノウハウを活かして、投資先企業を多面的に支援することができるのです。 商社はより大きな投資対効果を得るために社員を派遣することがあり、これが「出向」と呼ばれます。商社は自社の経営資源を最大限活用し、買収企業を最大限成長させようとするのです。
3.事業経営
事業経営とは投資先企業に「経営者」として人を派遣し、投資先のオペレーションを回していくことを指します。 例としては伊藤忠商事がファミリーマートを三菱商事がローソンを経営していることなどが挙げられます。今後事業経営がますます勢いを増すことが予測されています。
商社の魅力
商社というと、難関大学に所属する学生がこぞって志望する人気な業界ですが、その魅力とは何なのでしょうか。なんとなく、人気そうだからではなく、魅力を知ってしっかりとした志望動機を考えましょう。
■自分が事業主体になれる
商社の仕事はコンサルティング会社や投資銀行の仕事と比較されることが非常に多いですが、商社ならではの魅力は外部からのアドバイザリーではなく、自分が事業主体になれる点です。 例えば、投資銀行は外部の立場から助言を行ったり、株や社債の売買を通して利益をあげようとすることが多いが、商社は事業を成長させる為に、ネットワークを活用したりアイデアを提供したり、自ら事業を発展・創造しようと考えます。 昔のような仲介ではない、今の商社だからこそのビジネスに魅力を感じる人が多いのです。
■ビジネススケールが大きい
商社マンは一度の取引で数億や数十億、数百億円という莫大な金額を動かす仕事を多く担うが、このような規模で仕事ができる職業はそう多くはありません。 また、商社の業務の中心は海外取引であるため、世界を股にかけて働けることも多くの魅力です。しかし、その分の責任の大きさや仕事の難度は高く、仕事にかける思いと高い向上心がなければ、商社の仕事は務まらないのです。