日本式インターンシップの現状と課題を考える



今なお、採用の中心である「新卒一括採用」。しかし、ミスマッチが原因となり、就職後3年以内に3人に1人が辞めてしまう、離職とその割合の高さが問題視されています。このミスマッチを軽減する方法としてインターンシップ制度が注目されている。そして、日本の政府や企業はここ最近、「インターンシップ」に強く力を入れてきています。しかし、世界に目を向けてみるとインターンシップ事情は大きく違うようです。

日本式インターンシップ


インターンシップの本場の欧米では、インターンシップは就職条件の大前提として考えられており、2,3ヵ月以上の長期にわたって就業体験することがほとんどです。しかし日本では、文部科学省がまとめた「インターンシップ導入と運用のための手引き」(09年)に、大学の約70%、企業ではおよそ60%が「高い実習効果を得るには1か月以上の期間が必要」と考えているのに対し、実際には、インターンシップを1か月以上実施する企業は2%程度に過ぎないのです。
つまり日本でのインターンシップは一週間、数日間と1ヶ月未満のものが多く、就業経験をし、ビジネススキルを身につけるというよりは、企業の事業内容を知ることが主な目的となっているのです。
理由としては、日本企業の多くは現場に学生を出すリスクを恐れることや、インターンシップの実施で社員の時間が割かれることで、営業機会や業務に支障が生じる可能性があるなどがあげられます。また、受け入れ態勢が整っておらず、協力的でないことがあげられます。
学生にとっては1つのインターンシップの実施期間が短い方がより多くの企業、業界に触れる機会を得られるというメリットはあるものの、業務内容を密に体験し、学生の成長を促すという意味では不十分と言えるでしょう。また経団連により発表された、「『採用選考に関する指針』の手引き」には、採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行う必要がある、と記されています。日本のインターンシップは、あくまで学生のキャリア形成支援のためのものであり、採用とは一線を画するものとされているのです。

欧米(アメリカ)式インターンシップ


アメリカをはじめとした欧米ではインターンシップは100年以上の歴史を持ち、多くの大学生がインターンシップを経験します。日本とは異なり、長期インターンシップがほとんどです。アメリカでは「インターンシップ経験のない新卒者の就職は難しい」さえ言われるほどインターンシップが重要視されています。
その理由としては、アメリカの場合は、就活時に即戦力が求められているからです。大学と学生はそのことをよく理解しており、インターンシップに対して非常に積極的です。大学はインターンシップ情報を学生に提供したり、ビジネスマナーを教えるセミナーなどを頻繁に開催したりしています。学生たちも、大学卒業後の職を手にするために、休業期間中はインターンシップに励みます。長期インターンシップのために、1〜2年休学する学生もざらにいます。そして、インターンシップを経験する学生は全体の7割にものぼります。
ビジネススキルやキャリアを身につけるために、アメリカの学生は積極的にインターンシップに応募し、経験するのです。
また、アメリカのインターンシップ制度は「採用直結型インターンシップ」というもので、日本とは異なり採用が直結になっています。
つまり、企業はインターンシップを実雇用の前の試用期間と考えているのです。新卒採用は、企業の将来を決定付ける重要な業務であるが、コストもかかります。多くの候補者の中から才能ある人財を発掘するにはインターンシップが最適であると考えられています。

欧米式インターンシップから見えてきた日本式インターンシップの課題


アメリカではインターンシップが就活において、日本以上に大きなウエイトを占めます。アメリカ含め欧米の「即戦力」となる、新卒採用で強い効果のあるインターンシップに対し、日本のインターンシップはその部分が弱い感じがします。
キャリア教育の重要性が唱えられているものの、社会や仕事をよく知らない学生を採用し、一から教える、そうした考えや慣行が今なお日本には残っていると思います。インターンシップは学生と社会とを結び付ける上で大きな意味を持つが、まだその役割が不十分であると感じられます。
今後、企業は受け入れ態勢を整え、大学は学生へのアプローチをし、インターンシップのインフラ整備をしていく必要があると思います。

そして、学生も就職活動に対する意識を変えていく必要があるのではないのでしょうか。大学1,2年生はサークルとアルバイト、3年生の後半から就職活動という学生生活を見直す必要があるかと思います。早い時期からインターンシップに取り組み、社会人との接点を多く持つことで、早く企業社会を理解し、就職活動を有利に進めていけるのではないのでしょうか。そして長い期間で、「働く」という事に対して自分なりの計画を立て、そこに向かうために必死で学び、研究し、追求していく必要があると思います。インターンシップが必修化され、就職活動でも重要とされ、学生、企業ともに 幸せな就職活動が行われ、また、企業選びのミスマッチがなくなるといいですね。

本コラムの執筆者

taka

1993年新潟生まれ、大学を期に東京に上京。
2016年3月に明海大学を卒業。
学生時代に不動産、IT系ベンチャー、商社など4社の内定を獲得。
そんな中、株式会社ユナイテッドウィルのインターンシップ選考に参加。
入社前から実力主義の中で成長を夢見ていて、日々苦悩している。1月からインターンシップとしてインターンナビ事業を受け持ち、4月に入社。

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